クライオ電子トモグラフィーを用いたバーベック顆粒による免疫防御機構の解明
計画研究の概要
表皮は外界からの病原体侵入における免疫の最前線である。ランゲルハンス細胞は表皮に局在する特殊な樹状細胞であり、侵入してきた病原体を取り込んで活性化するとリンパ節に遊走して抗原提示を行うことで、免疫防御機構において重要な役割を担っている。ランゲルハンス細胞に特異的に発現するレクチンであるランジェリンは病原体表面の糖鎖を認識してエンドサイトーシスを行う。ランジェリンが作るエンドソームは梯子状の細い膜構造に丸い小胞が接続した「テニスラケット」様のバーベック顆粒を形成する。このバーベックはヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染を防御するとして注目されているが、その構造や仕組みの多くは不明である。本研究ではクライオ電子顕微鏡を用いて、メゾスケール構造であるバーベック顆粒によるウイルス感染防御機構を構造生物学の観点から明らかにする。
主な研究業績
- Oda T.*, Yanagisawa H., Shinmori H., Ogawa Y., and Kawamura T. Cryo-electron tomography of Birbeck granules reveals the molecular mechanism of langerin lattice formation. eLife, DOI: 10.7554/eLife.79990. (2022).
- Takahashi H., Kamiya M., Kawatani M., Umezawa K., Ukita Y., Niwa S., Oda T.*, and Urano Y*. Neural and behavioral control in Caenorhabditis elegans by a yellow-light–activatable caged compound. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 118 (6), e2009634118, (2021).
- Oda T.*, Yanagisawa H. Cryo-electron tomography of cardiac myofibrils reveals a 3D lattice spring within the Z-discs. Comm. Biol. 3, 585. (2020).
- Oda T., Yanagisawa H., Kamiya R., and Kikkawa M.* A molecular ruler determines the repeat length in eukaryotic cilia and flagella. Science, 346, 857-860. (2014).