公募研究(2022-2023年度)

NEWS

公募研究(2022-2023年度)
A01班

メゾ複雑体内の1分子構造動態計測のための高速3次元超解像顕微鏡開発

池崎 圭吾
池崎 圭吾(研究代表者)
東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 助教

計画研究の概要

本研究では、代表的なメゾ複雑体の1つである細胞内LLPS液滴の生物物理学的性質を解明するために新規超解像顕微鏡の開発を行う。本研究計画で開発する新規超解像顕微鏡は「細胞内・1分子・3次元・高速・高精度・長時間」という特徴を併せ持つ顕微鏡である。通常、顕微鏡において上記の性能はトレードオフの関係にあり並立させることは難しいが、本顕微鏡は「蛍光色素を光らせずに検出する」という新しいコンセプトに基づいた顕微鏡であるため、既存の1分子顕微鏡に比べて高い次元で上記の性能を実現させることが可能である。そして、この新規超解像顕微鏡を用いて細胞内LLPS液滴を構成する生体分子の分子構造動態を1分子粒度で計測する。本研究領域への貢献として本研究で開発する超解像顕微鏡技術が得意とする計測領域は3次元高速1分子構造動態であり、領域内の計画班の計測技術を補完することができると期待される。さらに、本計測技術はサブミリ秒・ナノメートルのオーダーの時空間精度で1分子粒度の計測ができる為、分子動力学シミュレーションなどの計算科学による解析結果と直接比較可能なデータを取得可能であり、ウェットとドライの研究を有機的に連携させる一助になると期待する。

研究概要図

主な研究業績

  1. Direct visualization of human myosin II force generation using DNA origami-based thick filaments. Keisuke Fujita, Masashi Ohmachi, Keigo Ikezaki, Toshio Yanagida, Mitsuhiro Iwaki, Communications biology 2 437-437 2019年
  2. Diffracted X-ray Blinking Tracks Single Protein Motions. Sekiguchi, Hiroshi, Kuramochi, Masahiro, Ikezaki, Keigo, Okamura, Yu, Yoshimura, Kazuki, Matsubara, Ken, Chang, Jae-Won, Ohta, Noboru, Kubo, Tai, Mio, Kazuhiro, Suzuki, Yoshio, Chavas, Leonard M. G., Sasaki, Yuji C. SCIENTIFIC REPORTS 8(1) 17090-17090 2018年11月
  3. Simultaneous observation of the lever arm and head explains myosin VI dual function. Keigo Ikezaki, Tomotaka Komori, Mitsuhiro Sugawa, Yoshiyuki Arai, So Nishikawa, Atsuko H Iwane, Toshio Yanagida, Small (Weinheim an der Bergstrasse, Germany) 8(19) 3035-40 2012年10月8日
  4. Switch between large hand-over-hand and small inchworm-like steps in myosin VI. So Nishikawa, Ikuo Arimoto, Keigo Ikezaki, Mitsuhiro Sugawa, Hiroshi Ueno, Tomotaka Komori, Atsuko H Iwane, Toshio Yanagida, Cell 142(6) 879-88 2010年9月17日