公募研究(2024-2025年度)

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公募研究(2024-2025年度)
A02班

細胞内分子構造動態解析による神経細胞極性の決定・維持メカニズム解明

玉川(中川) 直
玉川(中川) 直(研究代表者)
鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 神経筋生理学分野 助教

計画研究の概要

神経細胞は、1本の軸索と数本の樹状突起を持つ高度に極性化した細胞である。発達期の未熟な神経細胞が持つ線維の運命が、軸索と樹状突起のいずれかに決定される極性化のプロセスには、微小管と多様な分子からなるメゾスケール(数十〜数百μm)の複雑な構造体(=メゾ複雑体)が関与すると想定されるが、その関与の詳細は解明されていない(図)。応募者は最近、特殊な方法で細胞内Ca2+動態を操作したマウス大脳皮質の神経細胞で、軸索の一部が樹状突起に変化することを発見した。Ca2+がトリガーとなり、軸索の運命を決めていた複雑体が崩れ、樹状突起の複雑体に遷移したと想定される。本研究では、この遷移に伴う複雑体の構成分子の変化を網羅的に特定し、主要な分子と微小管の構造動態および相互関係を最先端の顕微鏡技術等を駆使して明らかにすることで、神経細胞の極性がいかにして決定され維持されるかを体系的に説明可能にする。またこの研究により、神経変性や多様な細胞種の極性変化を説明可能にすることにも貢献する。

研究概要図

主な研究業績

  1. Osaki T, Duenki T, Chow SYA, Ikegami Y, Beaubois R, Levi T, Nakagawa-Tamagawa N, Hirano Y, Ikeuchi Y. Complex activity and short-term plasticity of human cerebral organoids reciprocally connected with axons. Nature Communications 15, 2945, 2024.
  2. Nakagawa-Tamagawa N, Kirino E, Sugao K, Nagata H, Tagawa Y. Involvement of Calcium-Dependent Pathway and β Subunit-Interaction in Neuronal Migration and Callosal Projection Deficits Caused by the Cav1.2 I1166T Mutation in Developing Mouse Neocortex. Frontiers in Neuroscience 15, 747951, 2021.
  3. Maruoka H, Nakagawa N, Tsuruno S, Sakai S, Yoneda T, Hosoya T. Lattice system of functionally distinct cell types in the neocortex. Science 358(6363), 610-615, 2017.