医学部・医学科「進学生のしおり」より

 医学部に進学した皆さんは、まずは組織と解剖学を始めとする基礎医学を学ぶことになります。覚えることが沢山ありますが、算数の九九と同じで必要なので一度は頭に入れてください。試験が終わると大部分は忘れてしまうかもしれませんが、頭の片隅に入れておくことが大切です。

組織学の教科書について

 教科書としては多くの人が標準組織学などの和書を使うことになると思いますが、できれば英文の教科書をお薦めします。理由は2つ。
 ひとつは「面白いから」です。英文の教科書は数が多く、競争もあるので、最新の結果を図を使ってわかりやすく解説しています。従って、生化学で習った分子が、どのように細胞に繋がるのかイメージが掴みやすいと思います。組織学の教科書としては、
Histology: A Text and Atlas (Michael H. Ross, 6,800円位)、細胞生物学の教科書としてはCell Biology (Thomas D. Pollard, 1万円位)をお勧めします。スタンダードなMolecular Biology of the Cell (Bruce Alberts)に比べると、最近の構造生物学の成果を取り入れて正確な分子の形が描かれています。
 もう一つの理由は、将来、皆さんが国際的な仕事をするとき(きっとそうなります)に、英語での発表がどうしても必要だからです。そのためには、まずは英文を日常的に読むようにしてください。

我々の研究室について

 我々の研究室では
鞭毛や繊毛という細胞の「しっぽ」の研究をしています。この鞭毛・繊毛は、殆どの細胞にあります。腎臓の中ではセンサーとして働き、肺の中ではゴミを排出するブラシとして働くなど、非常に多彩な役割を担っています。我々の研究室では、この鞭毛・繊毛の「かたち」を定量的に解析することを中心に、細胞生物学の研究を進めています。クライオ電子顕微鏡を使った原子レベルのイメージングから、光学顕微鏡を用いた細胞レベルの解析まで、遺伝学と組み合わせながら研究をしています。自分の手を動かして「見る」ことの面白さを体験したい方はご連絡ください。フリークオーターの期間だけでなく、いつでも歓迎します。