計画研究

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A02班

クロススケール細胞内分子構造動態解析が解明するタンパク質凝集化による神経変性機構

田中 元雅
田中 元雅(研究代表者)
国立研究開発法人 理化学研究所 脳神経科学研究センター チームリーダー

計画研究の概要

本領域の推進する「クロススケール新生物学」の中で、我々のグループは、細胞生命現象として神経変性疾患に関連する液-液相分離現象やタンパク質凝集化に着目し、それに関わる動的なタンパク質構造解析を通して神経変性機構を解明する。認知症などの多くの神経変性疾患では脳内でタンパク質凝集体が蓄積する。細胞内の凝集体は構造、サイズ、局在が多様な“メゾ複雑体”であり、その分布の違いは異なる細胞障害や毒性をもたらす。そのため、細胞内タンパク質凝集体の構造多様性やそれが生じる起源となる動的平衡に焦点をあてタンパク質凝集体の生成・脱凝集過程を解明することは疾患メカニズムを理解する上で重要である。

本課題ではクロススケール細胞計測センターにおける吉川班のIn-cell cryo-ET、西田班のIn-cell NMR、福間班のIn-cell AFM技術や、水上班らと新たに開発する細胞内タンパク質凝集体定量解析技術による計測を行う。これらの静的および動的な構造情報をもとに杉田班の計算化学的解析も統合し、細胞内凝集体が関わる動的平衡過程の全容解明を目指す。本研究の成果はタンパク質科学研究を飛躍的に加速させ、タンパク質の異常凝集が関与する多くの神経変性疾患に対する根本的な理解や治療開発につながると期待される。

クロススケール細胞内分子構造動態解析が解明するタンパク質凝集化による神経変性機構の図

主な研究業績

  1. Shida T., Kamatari Y.O., Yoda T., Yamaguchi Y., Feig M., Ohhashi Y., Sugita Y., Kuwata K., and Tanaka M. Short disordered protein segment regulates cross-species transmission of a yeast prion. Nat. Chem. Biol., 16, 756-765 (2020).
  2. Sugiyama S., and Tanaka., M. Distinct segregation patterns of yeast cell-peripheral proteins uncovered by a method for protein segregatome analysis. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 116, 8909-8918 (2019).
  3. Hui K.K., Takashima N., Watanabe A., Chater T.E., Matsukawa H., Nekooki-Machida Y., Nilsson P., Endo R., Goda Y., Saido T.C., Yoshikawa T., and Tanaka M. GABARAPs dysfunction by autophagy deficiency in adolescent brain impairs GABAA receptor trafficking and social behavior. Sci. Adv., 5(4), eaau8237 (2019).
  4. Endo R., Takashima N., Nekooki-Machida Y., Komi Y., Hui K.K., Takao M., Akatsu H., Murayama S., Sawa A., and Tanaka M. TDP-43 and DISC1 Co-Aggregation Disrupts Dendritic Local Translation and Mental Function in FTLD. Biol. Psychiatry, 84, 509-521 (2018).