計画研究

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A02班

クロススケール細胞内分子構造動態解析が解明する細胞骨格ネットワーク構築とその破綻

仁田 亮
仁田 亮(研究代表者)
神戸大学 大学院医学研究科 生体構造解剖学分野 教授
中田 隆夫
中田 隆夫(研究分担者)
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 教授
佐藤 繭子
佐藤 繭子(研究分担者)
国立研究開発法人 理化学研究所 環境資源科学研究センター 技師

計画研究の概要

学術変革領域「クロススケール新生物学」の中で、我々のグループは、細胞生命現象として細胞骨格ネットワーク構築とその破綻による疾病発症の分子機構を解明する。細胞骨格は微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメントの3つのタンパク繊維ファミリーで構成され、これらが独自に、また協調してフィラメントネットワークを形成し、細胞の形態形成、運動、強度を生み出す。そして細胞骨格ネットワークの異常により、認知症・腫瘍・心不全など様々な疾患を発症する。しかし、これまでの細胞生物学的実験系では、細胞骨格ネットワークの構築過程を細胞内で計測することは困難であり、その分子機構解明はほとんど進んでいない。本課題ではクロススケール細胞計測センターにおける細胞内解析技術を結集し、この難題に挑戦する。具体的には、水上班の標識技術と超解像イメージングにより細胞骨格の種=メゾ複雑体のできるタイミング・場所を同定し、吉川班のIn-cell cryo-ETで高分解能スナップショットを、福間班のIn-cell AFMで構造動画を記録する。メゾ複雑体内部の分子間相互作用を西田班のIn-cell NMRで測定し、これら構造・運動・相互作用情報を杉田班のCSSB・GENESISで統合して、細胞骨格ネットワーク構築過程を原子レベルで理解する。また医学応用を見据えて、個体まで拡張したクロススケール技術およびヒト化応用技術を開発する。

細胞骨格ネットワーク構築・修正・異常の分子機構の図

主な研究業績

  1. Y Saijo-Hamano, AA Sherif, A Pradipta, M Sasai, N Sakai, Y Sakihama, M Yamamoto, DM Standley, R Nitta “Structural basis of membrane recognition of Toxoplasma gondii vacuole by Irgb6.” Life Sci. Alliance. 2021 in press.
  2. Y Sakamoto, M Sato et al. “Subnuclear gene positioning through lamina association affects copper tolerance.” Nature Commun. 10, 5914 (2020)
  3. H Shigematsu, T Imasaki, C Doki, T Sumi, M Aoki, TU Kamo, A Sakamoto, K Tokuraku, M Shirouzu, R Nitta. Structural insight into microtubule stabilization and kinesin inhibition by Tau-family MAPs. J. Cell Biol., 217: 4155 (2018)
  4. S Niwa, F Nakamura, Y Tomabechi, M Aoki, H Shigematsu, T Matsumoto, A Yamagata, S Fukai, N Hirokawa, Y Goshima, M Shirouzu, R Nitta. Structural basis for CRMP2-induced axonal microtubule formation. Sci. Rep. 7: 10681 (2017)
  5. D Wang, R Nitta, M Morikawa, H Yajima, S Inoue, H Shigematsu, M Kikkawa, N Hirokawa. Motility and Microtubule Depolymerization Mechanisms of the Kinesin-8 motor, KIF19A. ELife 5: 18101 (2016)
  6. M Yamagishi, H Shigematsu, T Yokoyama, M Kikkawa, M Sugawa, M Aoki, M Shirouzu, J Yajima, R Nitta. Structural basis of backwards motion in kinesin-1–kinesin-14 chimera: implication for kinesin-14 motility. Structure 24: 1322 (2016)
  7. T Ishii, K Sato, T Kakumoto, S Miura, K Touhara, S Takeuchi, T Nakata. “Light generation of intracellular Ca(2+) signals by a genetically encoded protein BACCS.” Nat. Commun. 6: 8021 (2015)