領域代表より
今回の領域会議は、国際会議と言う事で、英語での発表に加え、清華大学のHongwei Wangさんにも来ていただき、活発な議論が行われました。 まず、この国際会議のために会場の予約や準備に尽力していただいた方々に、感謝申し上げます。また、Wangさんには、清華大学で開発されている新しいクライオ電子顕微鏡の技術や、それを用いた成果についてお話しいただきました。
本領域では「共同研究をするのが良いことである」という文化が浸透していて、今回の領域会議でも、ポスターの前で「この現象は、XXという技術をこう使えば見えるのでは?」とか、「この技術は、こんな風に応用ができるのでは?」といった、白熱した議論が夜遅くまで交わされていました。また、同じ2023年9月には、顕微鏡学会の和文誌「顕微鏡」に、「特集:新時代の生命科学・医学におけるクロススケールバイオロジーと人のネットワークの必要性」として本領域からの四つの解説を載せていただきました。
この特集記事のタイトルにもあるように、「人のネットワークの必要性」が以前にも増して重要になっていると感じています。2020年以降、コロナパンデミックで、我々が得た道具の一つは、どこに居てもZoomなどをはじめとする「テレビ電話」ではないでしょうか? 世界中どこに居ても、画像を含めた内容の濃いコミュニケーションが可能になりました。また、実験方法もJoVEやYoutubeのお陰で、materials & methodsから再現するのではなく、動画を見ながら真似をすることができるようになりました。このお陰で、技術の普及のスピードが圧倒的に速くなっていて、一人一人の研究者の限られた時間では全てを試すのは難しくなってきています。
そうした時代にあって、あふれる情報の中から、どれが正しいのかは、実際に試して見た(信用できる)人から聞くことができる、「人のネットワーク」が重要だと感じています。領域会議や共同研究で、色々な方と話すことで、失敗も含めて表には書かれないことも聞く事ができますし、自分の研究成果を「面白い!」と評価して貰えたりします。これらは、Zoomなどのテレビ電話では味わえないことで、2023年度になり、対面のミーティングが再開されたことで皆さん痛感しているのではないでしょうか。
本領域は2024年度からは次の公募班の方々も加わります。本領域では、残念ながら次回の公募で漏れた方も、領域会議には参加できる様にする予定です。オープンな研究コミュニティとして本領域が発展していくことを願っています。